好立地で価格は安いのに前の道が・・・。
不動産ポータルサイトや自宅へのポスティングチラシなどで、土地の広さや立地が好条件にもかかわらず比較的安い価格の新築戸建に出会う事があります。実際に足を運んで現地に見学に行くと、物件の前の道が狭い・・・。という事はよくあります。
前の道が狭いことによって様々なメリットとデメリットがあるのですが、あくまでそれは個人の感覚になるので前の道が狭いと言っても人によってとらえ方は様々です。そのような前の道が狭い物件で購入するかしないかを悩んでいる方に不動産営業歴20年、宅地建物取引士の私がメリットデメリットを含めて解説いたしますのでこの記事を読んでみて自分にとって「前の道の狭い物件」は有りか無しかの判断材料にして下さい。
前面道路幅は重要
初めての家探しで、土地を買うにしても新築での家を買うにしても前の道路幅は重要です。前の道が狭い場合1回のバックでパーフェクトに車庫入れできれば問題ありませんが、自宅のガレージに車庫入れするのに何度も車を前後させて切り返しが必要です。
毎回そのような車庫入れは神経も使いますし、まして道路幅が狭いのに交通量がそこそこある道なら自分の車庫入れが完了するまで通行している車や自転車に待ってもらって入れないといけません。このように運転にあまり自信のない人にとって前面道路の狭い道に建つ物件は毎日の生活でストレスが増大するのでできれば避けるほうが良いです。
ただ、永年住み慣れている場所や狭い道での車庫入れは苦にならない人、そもそも駅からの距離が近いので車は必要ない人にとっては前面道路幅が狭いだけで価格も比較的安く、利便性も申し分なければメリットしかありません。なので次章のメリット、デメリットを比較して検討することが大事です。
前面道路が狭いメリット・デメリット
前面道路が狭いメリット
・比較的価格が安い
・狭い道が嫌いな人や車は狭い道を避けるので交通量は少なめ
・交通量が少ないので振動や騒音が少なく静か
・交通量が少ないので怪しい人は目立ってしまいセキュリティ面も安心
・道幅が狭いので路上駐車がほぼ無い
前面道路が狭いデメリット
・車庫入れに慣れや運転技術を要する場合が多い
・道幅が狭いぶんお向かいの建物が自分の家に近くなる
・道路幅が狭い事で容積率の制限を受ける場合小さいお家しか建てられない
・通学や通勤の抜け道になっていると狭いうえに交通量も多い
・購入するマイカーの大きさに制限を受ける
狭くても接道義務をクリアしていれば建築はOK
対向車とのすれ違いも厳しい、なかなかの狭い道でも建物は建っていますがその理由は前の道が狭ければ土地が安いからです。建物を建築するときの法律である建築基準法では、建物の敷地は道幅4メートル以上の建築基準法上の道路に土地の間口が2メートル以上有効に接していないと建物は建築できません。これを「接道義務」と言い、安全上や防災上の観点から定められている法律です。一部セットバックをすることでクリアできる例外もあります。そのような道に接道している土地は広い道に面している土地に比べて安くで仕入れる事が出来るので、不動産業者は新築を建築しても周辺相場から低い目の売り出し価格で販売できるのです。
前面道路の種類や状況は資産性にも大きく関係する
家探しで買っても問題ない物件の道は「最低6メートル幅の道」6メートルの道幅は対向車と難なく対向できるので6メートルは確保。次に道路の種類は「公道」が基本。次に前の道路が狭いゆえに自分の土地の一部を道路として使ってもらうために負担する「私道負担」のある私道はできればNGと考えるのが良いです。接道義務を満たさない土地の資産性は低いと言えますが接道義務を満たしていても道路の種類によっても資産性は変わります。公道であれば問題は無い場合がほとんどなのですが私道の場合、上下水道やガスなどのライフラインの整備状況が整っているのか整っていないので引き込みをしないといけないのかでも異なります。
新たに整備していかないといけない場合、私道であるためその私道の所有者に同意を得て掘削するための承諾を得なければいけません。それも1人ならまだ楽ですが複数人から掘削や引き込みに対しての同意が必要な場合は手間も掛かりますし、あくまで個人所有の私道なので無料で同意を得られる保証はありません。そのリスクを新たにその道に接道している土地で家を建てたい人が負わないといけないのでその手間やリスクが金額に反映されるわけです。
まとめ
家探しで道路はまず最初に見極めるべき重要ポイントです。前面道路が狭い場合のメリットとデメリットをよく考え、自分たちの今日範囲内なら安く購入できるので良いでしょうが、不安に感じる場合は購入を見送ったほうが良いです。どんなに好みの外観や間取りであっても住み始めてからの生活がどうなるのかをイメージすることが大事なので、家族の安心安全を考えると前の道路幅に関しては、もう一歩深堀しての検討をお勧めします。