用途地域で将来性が読める
初めての家探しで大事になるエリアの選定ですが、実家からや駅からの距離、ご主人の通勤や子供さんの通学エリア、または日々のお買い物や医療施設などの優先順位を整理し、自分たちのニーズに合ったエリアを選んでいくのですが、それだけで確定してしまっても大丈夫でしょうか?
なぜかといいますと、その絞り方はあなたたち家族の都合だけを考えてのエリア絞りだからです。
では、ほかにどのようなことを考えないといけないのか? それは、自分たちが決めたそのエリアは、今後長きにわたり、今の環境や現状が保たれるのか? ということです。
そこでひとつの目安と今後の安心につながるのが「用途地域」の確認になります。
用途地域とは、都市計画法という法律の中に含まれるもので、皆が、「好き勝手な場所に好き勝手な使用用途の建物を建てられないようにするため」の法律で「市街化区域」というエリアのなかに大きくわけて「住居系」「商業系」「工業系」の3つがあり、さらに細かく13の地域に分類されます。 都市計画法に基づいて、おおむね5年に一度、全国一斉に用途地域は見直されるのですが、もともとの住居系の設定をされているエリアに突然大きな工場ができることは考えにくいので、一般的にはエリア内の環境について大きく変わることはありません。
13種類の用途地域で分類されたエリアのなかでは種類ごとに、建てられる建物の大きさ、使用用途や規模、高さ制限など細かく規制を設けられています。
13種類の用途地域
▼1.第一種低層住居専用地域
低層住宅の良好な住環境を守るための地域。50m²までの住居を兼ねた一定条件の店舗や、小規模な公共施設、小中学校、診療所などを建てることができる。
▼2.第二種低層住居専用地域
主に低層住宅の良好な住環境を守るための地域。150m²までの一定条件の店舗等が建てられる。
▼3.第一種中高層住居専用地域
中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。500m²までの一定条件の店舗等が建てられる。中規模な公共施設、病院・大学なども建てられる。
▼4.第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。1500m²までの一定条件の店舗や事務所等が建てられる。
▼5.第一種住居地域
住居の環境を保護するための地域。3000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル等や、環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。
▼6.第二種住居地域
主に住居の環境を保護するための地域。10000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等や、環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。
▼7.準住居地域
道路の沿道等において、自動車関連施設などと、住居が調和した環境を保護するための地域。10000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等や、小規模の映画館、車庫・倉庫、環境影響の小さいごく小規模な工場も建てられる。
▼8.田園住居地域
農地や農業関連施設などと調和した低層住宅の良好な住環境を守るための地域。ビニールハウスなどの農産物の生産施設や農産物・農業の生産資材の倉庫等のほか、500m²までの一定の地域で生産された農産物を販売する店舗等も建てられる。
▼9.近隣商業地域
近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の、業務の利便の増進を図る地域。ほとんどの商業施設・事務所のほか、住宅・店舗・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等のほか、映画館、車庫・倉庫、小規模の工場も建てられる。延べ床面積規制が無いため、場合によっては中規模以上の建築物が建つ。
▼10.商業地域
主に商業等の業務の利便の増進を図る地域。ほとんどの商業施設・事務所、住宅・店舗・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等、映画館、車庫・倉庫、小規模の工場のほか、広義の風俗営業および性風俗関連特殊営業関係の施設も建てられる。延べ床面積規制が無く、容積率限度も相当高いため、高層ビル群も建てられる。
▼11.準工業地域
主に軽工業の工場等、環境悪化の恐れのない工場の利便を図る地域。住宅や商店も建てることができる。ただし、危険性・環境悪化のおそれが大きい花火工場や石油コンビナートなどは建設できない。
▼12.工業地域
主に工業の業務の利便の増進を図る地域。どんな工場でも建てられる。住宅・店舗は建てられる。学校・病院・ホテル等は建てられない。 例えば、大規模な工場の隣に社員寮やスーパーがあるような状態など。
▼13.工業専用地域
工業の業務の利便の増進を図る地域。どんな工場でも建てられる。住宅・物品販売店舗・飲食店・学校・病院・ホテル等は建てられない。福祉施設(老人ホームなど)も不可。住宅が建設できない唯一の用途地域でもある。簡単に言えば、京浜工業地帯などに代表される湾岸地域などである。石油コンビナートや製鉄所などの環境悪化の可能性が大きい設備が設立されている地域である。また、花火工場などの危険性が極めて大きい工場もこの地域に建設される。
気に入った物件があれば用途地域をまず確認
自分たちの検討内に入る物件があれば、まず不動産屋さんなどに用途地域を確認してみましょう。該当エリアの役所のホームページなどで調べれば細かい部分もすぐにわかります。
内容は、たとえば、第一種住居地域では 「住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿」は建築可能ですが、細かくは以下の通りです。
■事務所等 – 3000m2以下
■ホテル(ラブホテル類を除く)・旅館 – 3000m2以下
■遊戯施設・風俗施設 – 特記ない限り○、ただし3000m2以下
■マージャン屋、パチンコ屋、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場等 – ×
カラオケボックス等 – ×
■劇場、映画館、演芸場、観覧場 – ×
■キャバレー、料理店(接待を主とするもの)、ナイトクラブ、ダンスホール等 – ×
■風俗営業に係る公衆浴場等、ヌードスタジオ、のぞき劇場、ストリップ劇場、ラブホテル類、専ら性的な写真・物品等の販売店等 – ×
などと「第※種※(※層)住居(専用)地域」」のように「住居地域」と名の付くいわゆる「住居系」の用途地域は、あくまでも、人が暮らす住環境に重点を置いているので、上記のように人が住居として住んで生活することとは、離れれば離れるほど建築しにくい規制になっています。
用途地域は価格にも関係する
自分たちの都合でお好みのエリアを決め、更に用途地域でどのような規制のあるエリアなのかという事は家探しに外すことのできない検討方法なのでぜひ役立てて下さいね。